壁にぶち当たった時に助けてくれるもの

着患脱健(ちゃっかんだっけん)という言葉を知っていますか?
看護や介護の現場で使用する言葉です。

着患脱健(ちゃっかんだっけん)とは。
身体に麻痺(まひ)や痛みのある人が衣服などを着脱する際の原則で、患部のある側から着て、健康な側から脱ぐようにするということ。
コトバンク

看護や介護の現場では、これさえ覚えておけば、体に麻痺のある人の着脱(服の脱ぎ着)をお手伝いするときに、困ることはありません。

では、全身に強い麻痺がある場合はどうしますか?
寝たきりで関節を曲げるのが困難な人はどうしますか?
答えは、それぞれの体の状態を観察し、より本人にとって楽な方から服の脱ぎ着をお手伝いします。

こういった場合のように、応用が必要な場面で役立つのは、方法ではなく「なぜその方法をとっているのか」という理由です。

カウンセリングの場面でも、相手の動きでその瞬間の心情や思考のタイプを読み取ったりします。
例えば目線。
例えば手の動き。

ただ、人の心というのは様々な思考が複雑に絡み合っています。
なので、目線が上に向いたからこの人は〇〇タイプだ、といったように。
はっきりと判別できるものではありません。

その時の質問の内容や、身体の動きやスピード、目線の移り変わり、発する言葉など。
さまざまな表現を総合して、判断していきます。
このときに必要なのも、方法ではなく。
「なぜその方法で判断するのか」という理由です。

新しい知識を手に入れると、楽しくてすぐに使いたくなるものです。
使うことで知識が自分のものになっていくので、それはとてもいいことです。

ですが、実際に使いながらより知識を深めていく。
方法ではなくその方法を行う理由を知る。
その行動が、応用の効く知識へと変化させてくれます。

何をするにもスピードが必要となり、簡単に情報が手に入る時代になりました。
情報が簡単に手に入る情報だからこそ、それに振り回されない知識も必要です。
その深い知識が、自分の大切な軸となってくれます。

簡単に手に入る情報に踊らされて、小手先の手法に走ったとしても、いつか壁にぶち当たります。
その時に自分を助けてくれるのも、より深い知識です。

ネット上の無料の情報だけで、物事を判断していませんか?
小さなコミュニティの中だけで、世界を知った気になっていませんか?

自分のコミュニティを大切にしながら、より確かな知識を取り入れ。
応用の効くカウンセラーになりたいと思います。

ではまた。