まず何よりも自分自身であれ

自分の人生を生きるとはどういうことなのかを、過去に出会ったある心療内科の先生とのやりとりを元に、お話ししたいと思います。

これは19年前、私が元夫と離婚をする前の話です。

離婚を切り出したのは私からでした。
ある日、夫がめずらしく朝帰りをしました。
不安でほとんど眠れなかった私は、一晩中どこにいたのかを聞きましたが。
彼が夜を過ごした相手と場所に問題があり、私はすぐに離婚を決意しました。

元夫が朝帰りをする少し前から、夫婦仲はうまくいかなくなっていて、義両親に相談をしてる時期でもあったんですが。
そんな中、私の知らないところで家のリフォーム話が進んでいたらしく。
私はそれを知らされないまま、ある日偶然打合せに居合わせて、リフォームすることを知りました。

そして、この同居している家のリフォームのタイミングが、離婚を決意したタイミングと重なっていたため。
私はなかなか離婚を切り出せずにいました。
 
「お前たちのために家をリフォームしてやるんだ」
という義両親の言葉が、私の心に呪文をかけました。

ここで離婚を切り出したら、義両親の気持ちを踏みにじることになるんじゃないか。
そんな思いが頭の中でぐるぐる巡って、離婚を切り出せずにいました。
 
でも、どうしてもそれ以上結婚生活を続けていくことが無理になり。
悩んでるうちにみるみる体重が減って、気が付けば1ヶ月で10キロ近く痩せていました。

毎日泣いてばかりで、頭がおかしくなりそうで、でもやっぱり切り出せなくて。
助けてほしいと言う気持ちで、心療内科に行きました。

そこで私は、離婚をしたいけど、私たちのためにリフォームしようとしてる義両親に申し訳なくて、離婚を切り出せずにいる、と話しました。

そこで先生が私にこう言いました。
誰のために生きてるの?と。
続けて、こんなことも私に言いました。
 
あなたが一番したいことは何?
あなたの離婚したい気持ちと、家のリフォームは何も関係がない。
だって、あなたからお願いをしたわけじゃないでしょ?
その人たちは、自分たちがリフォームをしたいからする。
ただそれだけ。
そこにあなたが住んでも住まなくても、きっとリフォームはするだろうし。
あなたが住まないからと、リフォームをやめたとしても、それはあなたのせいではない。
あなたの人生はあなたのもの。
義両親のための人生じゃない。

そして最後にこう言いました。
あなたが今、一番したいことは何?
 
この先生の言葉に対して、賛否両論あるとは思いますが。
私はこの言葉に救われました。

私は常に人の顔色をうかがい、人に嫌われることを極端に怖がって生きてきました。
同時に、他人の人生を生きることで、一歩踏み出せない自分から目を背けてきました。
 
自分の人生に責任を取りたくなくて、誰かのために、という言い訳をしたかっただけなのかもしれないと、この時気がつきました。
 
その後、私から離婚を切り出して、3人の娘を連れてその家を出ました。
リフォームがどうなったかは知りません。
あの時あの先生と出会ってなかったら、私は今でも誰かの人生を生きてたのかもしれません。
 

誰かのために生きることも、それはそれでとても素敵なことです。
ただ、それを言い訳にしてしまうと、人生がねじれてしまいます。

自分が一歩踏み出せないでいる理由を、他人や環境のせいにしているうちは、自分の人生を歩くことはできません。
 
夫のため、子供のため、両親のため、という気持ちはそれはとても素晴らしいことですが。
自分のために、というものここに加えてください。

私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる。
私はあなたの期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
そしてあなたも、私の期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
もしも縁があって、私たちが出会えたのならそれは素晴らしいこと。
出会えなくても、それもまた素晴らしいこと。
~ゲシュタルトの祈り~

どうか、自分の人生を生きてくださいね。

ではまた。