お守りからの卒業

少し前まで、パワーストーンにはまっていた時期がありました。
石の意味を調べては買い集め、必ず身に付けていました。

だけどいつからか、パワーストーンに手が伸びなくなって、今ではほとんど身につけなくなりました。

なんとなく、もう私には必要ないかもしれないって。
そんなふうに心境が変化していったんだと思います。
別の言い方をすれば、依存しなくなったのかもしれません。

あの頃の私は、パワーストーンを身に付けることで、一歩踏み出す勇気をもらっていました。
じゃあ、どうして今はお守りがいらなくなったのか。
それはきっと、守りたい人が増えたからかもしれないと思います。

東京に出てきてから、もしかしたら14歳で親元を離れた時から。
私はずっと、ひとりぼっちで生きてきたような気がしていました。

実際には、姉妹や友人など、たくさんの人に支えられて生きてきたんだけど。
支えてくれる人たちの優しさを受け入れられないほど、私の心が疲弊しボロボロになっていたのかもしれません。

結婚し子供を授かり、無我夢中で子育てをしました。
一瞬たりとも目を話したら消えてしまうんじゃないかと思うほど、可愛くて儚い命を守るために全力で働きました。

そして今の夫に出会い、守りたい人がまた1人増えました。
娘と夫を守るために、自分が変わろうと思いました。
私が私を大切にすることが、私の守りたい人たちを大切にすることに繋がると信じて走ってきました。

それでも心のどこかに、ひとりぼっちで膝を抱えている私がいました。
家族と過ごしていても、どんなに仲の良い友人といても、寂しさが消えることはありませんでした。
その寂しさを埋めたくて、パワーストーンを集めていたのかもしれません。

東京に来てからは、ひとりでイベントに出向き、ひとりで出店する日々が続きました。
そんな私の心の支えの一つが、パワーストーンでした。

そのうちイベントで出会った人たちと仲良くなり。
情報交換や互いの夢の話をするようになりました。
私が個人で場所を借りて出店をすると言えば、一緒に出店したいと言ってくれるようになりました。

そして実際に一緒に出店を始めたら、私の中のもう1人の私がこう言いました。
大切な人が増えたから、もう寂しくないよねって。

家族以外に守りたい人ができました。
一緒に出店している仲間たちです。
この人たちに笑顔になってほしい。
そのために自分に何ができるかを、考えるようになりました。

そうしているうちに、パワーストーンに手が伸びなくなり。
今では夫と娘、そして一緒に出店をしている仲間たちが、一歩踏み出す勇気をくれています。
私の中のもう1人の私も、どこかへ行ってしまいました。

人が変化するときって、強い力も強い信念も必要なくて。
自分と目の前の人たちを大切にしているうちに、ゆっくりと心が変化していくのかもしれません。

そして私も、心理カウンセリングを通して自分を大切にすることを伝え。
クライエントが自分の足で歩けるようになった後には、いつしか私の存在を忘れてしまうほど幸せを感じる。
そんな心理カウンセラーになりたいと思います。

何年か後に、そんなこともあったねって、なんとなく覚えてるけどカウンセラーの顔も名前も思い出せないねって。
そう言えるくらい幸せな人生を歩いてもらえたら、とっても嬉しいです。

ではまた。