体調不良が原因で、10年続けた介護の仕事を辞めた後、しばらく家でゆっくりと過ごしていましたが。
体調が回復すると共に、じっとしていられないという私の性分が顔を出し。
何か新しいことをやってみたいなと、考えるようになりました。
昔から服が大好きで、ファッションに興味があったので、大好きな服を売る仕事がしたい。
できれば自分の好きな服を集めたお店をやってみたい。
考えていくうちに、夢がどんどん膨らんでいきました。
でも、アパレルで働いたことなんて一度もありません。
ファッションは好きだけど、自分の勘で選び組み合わせているだけなので、基本的なことは何も知りません。
仕入れて売るだけなんだから、誰にでもできるといろんな人に言われたけど。
私はそうは思いませんでした。
服やファッションのことだけでなく、経営のことも全く分からない私が。
仕入れて売るだけと簡単に考えて始めて、万が一うまくいったとしても。
きっとどこかで行き詰まると思いました。
そこで私は、アパレルで働いてみるという選択をしました。
田舎に住んでいたので、そんなに店は多くなかったけど。
商業施設の中にある、少しだけ高価な価格設定のブティックで働き始めました。
その後、自分のお店を持つことになるんですが。
何も知らないまま始めなくてよかったと、今でも思っています。
ブティックのオーナーは、何十年もアパレルの世界で生きていきた人だったので。
中に入らないと分からない、いろんなことを教えてくれました。
なぜブランドの服は高いのか。
安価な商品と何が違うのか。
ユニクロは何が凄いのか。
問屋や仕入れの仕組み。
お客さんとのやりとり。
店員に必要なスキル。
まるで私の体がスポンジにでもなったように、オーナーの話を聞きながら知識を吸収していきました。
展示会にも連れて行ってくれました。
研修も受けさせてくれました。
仕入れのコツも教えてもらいました。
店内に入ってきたお客様に、声をかけるタイミングも教えてもらいました。
クロージングも教えてもらいました。
いろんなことをオーナーから学んでから、自分のお店を持ちました。
服を仕入れて売るだけという作業は変わらないけど。
目に見えない部分に大切なことがたくさんあることを知れたのは、その業界で働いたからだと思います。
「見ると聞くとは大違い」ということわざもあるとおり。
自分の目で見てみないと分からないことが、たくさんあることを知りました。
私にとってブティックで働くことは、自分のお店を持つ練習だったんだと今は思います。
練習でできなかったことは、本番でもできません。
逆に言えば、練習でできたことしか、本番ではできないということです。
ろくに練習もせず、なんとかなるよね、と本番に挑んだとしても、どんでん返しは起こらないと私は思います。
外からは簡単そうに見えても。
それなりにできるようになるまでには、時間と努力が必要です。
1秒でも早く、その場所に立ちたい気持ちは分かるけど。
少し遠回りだったとしても、経験してから立った方がうまくいくこともあります。
ブティックで働くという経験をしたから、服屋を開けたと私は思っています。
いつか小さくてもいいからイベントを主催したくて、今は自分がイベントに出店しています。
そして現場で、ただ人を集めればいいわけじゃないということを、身をもって学んでいます。
私が主軸に置きたいと思っている心理カウンセリングに、なんの関係もないように見えるこの遠回りが。
いつか私を助けてくれる知識となると信じています。
ではまた。